横田基地訴訟とは

 私たちは、1976(昭和51)年4月の提訴以来、横田基地を離着陸する軍用機の騒音規制損害賠償を求めてきました。
昼夜を問わず不定期に飛ぶ軍用機の騒音は、おだやかな生活をかき乱し、静かな眠りをやぶり、健康さえむしばみます。
せめて団らんのひとときと身体を休める夜間から早朝の騒音は止めてほしい。
それが私たちのささやかな願いです。

訴訟の目的

 騒音被害をなくし、 
 静かで安全な生活を 
 実現するために。 

  1. 横田基地を離着陸する航空機の夜7時~翌朝7時の飛行差し止め
  2. オスプレイの終日飛行差し止め
  3. 横田基地を原因とする航空機騒音をはじめとする基地被害の救済
    (=過去から将来にわたる基地被害に対する損害賠償)

 過去3度繰り返された横田基地公害訴訟では、75WECPNL(W:うるささ指数)以上の地域の損害賠償は認められましたが、夜間~早朝の飛行差し止めは認められませんでした。横田基地周辺は依然として騒音被害の解消に至っていません。この間に新たに配備されたオスプレイの轟音は、被害を一層深刻化しています。
第3次新横田基地公害訴訟では、家族団らん時間から深夜早朝の飛行差し止めとともに、オスプレイの飛行制限、将来にわたる損害賠償を中心課題として取り組み、横田基地周辺を静かで安全な生活環境にしたいと思っています。

静かな空をもとめて

横田基地公害訴訟のあゆみ

 横田基地周辺住民は1976年と1996年に、「静かに眠れる夜」と「被害の救済」を求め、2度にわたり裁判を起こしました。

 2度目の裁判(第1次新横田基地公害訴訟)は原告約6,000人が参加する大規模訴訟でした。裁判の結果、騒音被害を認め国に損害賠償を命ずる判決が確定しましたが、住民の悲願であった「夜間飛行差し止め」は再び認められませんでした。
しかし、国がまともな対策を立てず被害を放置したままのため、東京高裁は、「法治国家のありようから見て立法府は怠慢のそしりを免れない」と、司法として国の被害対策を厳しく批判する判決を下しました

 2013年には約1,000人の原告が3度目の裁判(第2次新横田基地公害訴訟)を提起し、損害賠償額の増額を勝ち取りました。しかし、2020年12月の最高裁判決でも、「夜間飛行差し止め」や「将来にわたる損害賠償」は認められていません。

 被害が続いていても、新たに裁判を起こさなければ救済の対象にならないのが現状ですが、多くの被害住民が裁判に参加することで、日米間の騒音防止協定や防音工事、エンジンの低騒音化などを進める力となっています。

【年表】横田基地と訴訟・運動の経過

原告団について

 第3次新横田基地公害訴訟原告団は、国に対し、横田基地周辺の静かな生活環境を取り戻し、軍用機の騒音による様々な被害に対する補償を求める第3次新横田基地公害訴訟を進めている団体です。
地域住民によって構成される自主的な団体で、1972(昭和47)年11月に福生・昭島の住民によって結成された「横田基地爆音をなくす会」に端を発し、横田基地公害訴訟団、新横田基地公害訴訟団、第2次新横田基地公害訴訟原告団の流れを汲み、2022(令和4)年5月、第3次新横田基地公害訴訟原告団が正式に結成されました。

弁護団について

 新横田基地公害訴訟の裁判実務を担う弁護団は、旧第1次訴訟から携わる経験豊富な弁護士から、新進気鋭の若手まで、総勢約30名の弁護士により構成されています。
40年以上にわたる横田基地訴訟の経験を踏まえつつ、騒音の調査、健康被害に関する研究、被害状況の聴き取り(陳述書作成)などに取り組んでいます。
また、全国各地の基地公害訴訟(厚木、小松、嘉手納、普天間、岩国、新田原)の弁護団とも協力関係を築き、基地騒音公害の全国的な救済を目指しています。

よくある質問

今度の裁判で求める内容は何ですか?

① 米軍機、自衛隊機等の飛行差止め、及び ② 違法な騒音に対する損害賠償を求めます。

オスプレイの騒音がひどいのですが、裁判では取り上げるのでしょうか。

 既に横田基地にオスプレイ6機が正式配備されており、今後2024年度までに横田基地に配備されるオスプレイを10機まで増やす計画があります。
被害のさらなる深刻化が見込まれますので、新しい裁判でも、当然、オスプレイの被害については大きく取り上げる予定です。

今までの訴訟で賠償金はどのぐらい認められましたか?

 前回の裁判では、コンターの地域によって、以下の通りの認容額となりました。
75W以上80W未満地域  4,000円/月
80W以上85W未満地域  8,000円/月
85W以上90W未満地域  12,000円/月

裁判にはどのぐらいの時間がかかりますか?

 前回の裁判では、地方裁判所への提訴から最高裁判所の判断がなされるまで、約7年6か月を要しました。被害の深刻さを裁判所に伝えるためにはある程度時間をかけ、充実した審理を行う必要がありますが、できる限り迅速な裁判を求めていきたいと思っています。

誰でも原告になれますか?

 原則として、国が定めたコンター75W以上の地域に居住している方で、第3次新横田基地公害訴訟の目的及び趣旨に賛同される方であれば、誰でも原告になることができます。
国から防音工事の助成を受けた方でも原告になることができます。

原告になるにあたって、お金がかかりますか?

 原告になるに当たっては、第3次新横田基地公害訴訟原告団に入団していただくことになります。原告1名につき、年額5,000円の団費をお支払いいただくこととなります。
いただいた団費から、裁判費用や、原告団維持の費用を支出します。

原告になるためにはどういう手続きをすればよいのですか?

 原告団への入団申込み書類のほか、委任状、住民票などを提出していただきます。
具体的な手続については各被害地域ごとに説明会を予定していますので、こちらにご参加ください。
説明会に参加できない方は、原告団にお問い合わせください。
入団申込み書類などは、インターネットからもご請求いただけます。

裁判の原告は何をするのですか?

 裁判における手続きは、代理人となる弁護士が行いますので、お仕事などを休んで必ず裁判所に来ていただく必要はありません。
もっとも、被害の実態などを裁判官に伝えるための陳述書を作成(弁護士がサポートします)していただくことは必要になります。
そのほか、ご都合の付く範囲で、裁判傍聴にもご参加いただければと思います。